ひろしま「かがり灯」の祭典の開催に当たり、メッセージをお送りいたします。
1945年8月6日、ここ広島の地で、一発の原子爆弾により、一瞬にして十数万ともいわれる貴い命が失われました。
一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。
原子爆弾が人々にもたらした苦しみを、再びこの世界の誰かが経験することがあってはなりません。「核兵器のない世界」を実現することは、唯一の戦争被爆国である我が国の変わらぬ使命です。
世代や国境を越えて被爆の実相をしっかりと伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要だと考えています。
引き続き、世界中の指導者、若者の被爆地訪問を呼びかけるとともに、様々な取組を通じて被爆地訪問を促してまいります。
また、高齢化が進む被爆者の方々に寄り添いながら、今後とも、保健、医療、福祉にわたる総合的な援護施策を推進してまいります。
いま、核軍縮を取り巻く環境は一層厳しいものとなっております。だからこそ、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力しながら、現実的なアプローチで「核兵器のない世界」の実現に向け全力で取り組む必要があります。
昨年ここ広島で開催されたG7広島サミットの成果も踏まえながら、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下で取組を一つ一つ実行していくことで、現実的かつ実践的な取組を継続・強化し、核軍縮に向けた国際的な機運を高めるとともに、国際社会の取組を主導してまいります。
皆様の平和への活動、世界への発信は大変意義深いものであり、恒久平和の実現に大きな力となることと期待しております。
結びに、ひろしま「かがり灯」の祭典の御成功と、皆様の今後ますますの御健勝と御多幸をお祈りいたします。
内閣総理大臣 岸田文雄