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ひろしまかがり灯の祭典

「ひろしま『かがり灯』の祭典」が開催されるに当たり、メッセージをお送りいたします。

1945年8月6日、人類史上初めて広島に原子爆弾が投下され、多くの人々の命や日常生活が奪われました。そして、心身に悪影響を及ぼす放射線は、今なお被爆者に様々な苦しみを与え続けています。

現下の厳しい世界情勢により、国家間の疑心暗鬼はますます深まり、世論においても武力に頼らざるを得ないという考えが強まっています。

このような状況だからこそ、市民社会が決意と希望を胸に心を一つにして行動を起こし、為政者に政策転換を促すことが重要となります。

昨年度、広島平和記念資料館に世界中から過去最多とな る226万人を超える人々が訪れたことは、かつてないほど、被爆地広島への関心、平和への意識が高まっている証しとも言えます。ヒロシマの平和への願いの原点は、「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」という被爆者の切なる願いです。

争いを生み出す疑心暗鬼を消し去るために、今私たちができることは、音楽や美術、スポーツなどを通じた交流によって他者と経験や価値観を共有、共感し、対話することで、「信頼の輪」を育み、日常生活の中で実感できる「安心の輪」を広めていくことです。

そうした意味で、本年も「ひろしま『かがり灯』の祭典 」が開催され、国内外の皆様が元安川を照らす鎮魂の炎を前に、戦争犠牲者を悼むとともに、それぞれの夢や希望に思いを馳せ、平和への誓いを新たにされることは誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。

本市は、世界の平和首長会議の加盟都市と共に、平和文化を振興することで、核抑止力に依存する為政者に、対話による平和的解決に向けた外交政策への転換を促していきます。皆様には、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。

終わりに、「ひろしま『かがり灯』の祭典」 の御成功と御参会の皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。

令和7年(2025年)8月5日
広島市長   松 井  一 實