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ひろしまかがり灯の祭典

「ひろしま『かがり灯』の祭典」が開催されるに当たり、メッセージをお送りいたします。

78年前の夏、何の前触れもなく人類に向け初めてとなる原子爆弾が投下され、地上600mで炸裂した後に生じた凄まじい熱線と爆風は罪のない数多くの尊い命を奪い、これまでの日常を地獄絵図に一変させました。
そして、心身に悪影響を及ぼす放射線は、今なお被爆者に生活面で様々な苦しみを与え続けています。

ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、核兵器による抑止力なくして平和は維持できないという考えが勢いを増していますが、こうした考えは、武力によらず平和を維持するという理想を追求することを放棄し、現状やむなしとするものであり、 人類の存続を危うくすることにほかなりません。
とりわけ、為政者に核のボタンを預けることは、あの日の地獄絵図の再現を許すことであり、人類を核の脅威にさらし続けるものです。
一刻も早く全ての核のボタンを無用のものにしなくてはなりません。

本市は、被爆者の平和への願いを原点に、核兵器廃絶の道のりがどんなに険しいとしても、核兵器のない世界を夢物語にすることなく、その実現を目指し続けます。
その過程においては、市民一人一人が「幸せに暮らすためには、戦争や武力紛争がなく、また、生命を危険にさらす社会的な差別がないことが大切である」という思いを共有 する市民社会が実現されなければなりません。
そうした 意味で、本年も皆様が「 ひろしま『かがり灯』の祭典 」を開催され 、 恒久平和の願いを世界に発信される ことは誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。

本年5月に開催されたG7広島サミットでは、各国首脳が被爆の実相に直接触れ、「ヒロシマの心」を受け止めていただき、核兵器のない世界の実現を目指すというメッセージが世界に発信されました。

本市としては、G7広島サミットを契機として、国際社会が核兵器廃絶に向かって着実に前進するよう、世界で8,200を超える平和都市のネットワークへと発展した平和首長会議の加盟都市とともに、あらゆる暴力を否定する「平和文化」を振興することにより、為政者が核抑止力に依存することなく、対話を通じた外交政策を目指すことを後押ししていきます。
皆様には、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。

終わりに、「ひろしま『かがり灯』の祭典 」 の御成功と御参会の皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。

令和5年(2023年)8月5日
広島市長   松 井  一 實